がん治療とメシマコブ

メシマコブの特許(3)

【0020】
実施例2:全DNAの分離菌糸体からの全DNAの分離はSDS- フェノール法を利用した。前記実施例1において培養が終った菌糸体それぞれを、20mM EDTAで洗浄した後、フィルターペーパー(filter paper;Waterman no.1)を用いた真空濾過法により得て、−70℃で氷らせて凍結乾燥した。

 

凍結乾燥された菌糸体はすり鉢で細粉砕して粉末にした後、2gを計って 20mlの抽出緩衝溶液(extraction buffer;0.2M Tris・HC1, PH 8.5, 0.25M NaCl, 25mM EDTA, 0.5%(w/v) SDS)に入れてフェノール14mlとクロロホルム6mlを加えて緩やかに振る。遠心分離して上澄液だけを取った後、RNアーゼ A(10mg/ml)15μlを添加して37℃で30分間反応させ、プロテイナーゼK(Proteinase K)(10mg/ml)15μlを添加して、60℃で15分間反応させた。

 

反応後、同一容量のフェノール:クロロホルム:イソアミールアルコール(25: 24:1)を加えて良く混ぜて、4℃、12000xgで30分間遠心分離して上澄液を取った、分離した上澄液に同量のクロロホルム:イソアミールアルコー ル(24:1)を入れて良く混ぜた後、同一条件で遠心分離して上澄液を得た。この溶液に0.54容のイソプロパノール(isopropanol)を添加 し、同一条件で遠心分離してDNAペレット(pellet)を得た。

 

DNAペレットは70%エタノールで洗浄して空気中で乾燥し、8mlのTE緩衝溶液 (10mM Tris・HCl, 1mM EDTA, pH 8.0)に溶かして−20℃で保管し使用した。 実施例3:ミトコンドリアDNAの分離前記実施例2で分離された菌株それぞれの全DNAからミトコンドリアDNAを得るために超遠心分離をした。即ち、 8mlのDNA溶液に8.8gの塩化セシウム(Cesium chloride;Sigma, U. S. A)と6μlのビスベンズイミド溶液(bisbenzimidesolution)(10mg/ml)を混合し、20℃、40000xgの条件で40時間 超遠心分離した。

 

超遠心分離後、紫外線灯下で現われる二つのDNAバンドのうち上バンドだけを21ゲージ(gauge)注射針で回収した。回収したミトコ ンドリアDNA分画はビスベンズイミド(bisbenzimide)を除去するために飽和塩化セシウムイソプロパノール(CsCl-saturated isopropanol)を同一容量で添加した後、弱くボルテキシング(Vortexing)し、4℃で1200xgに遠心分離して6〜7回洗浄した。

 

塩 化セシウムを除去するためにミトコンドリアDNA分画に3倍容の70%エタノールを添加して4℃で100×gで10分間遠心分離してミトコンドリアDNA を沈澱させた。ミトコンドリアDNAは70%エタノールで更に洗浄した後、常温で乾燥してTE buffer(PH 8.0)に溶かし、分光光度計(DU-64 Spectrometer Beckman, U.S. A)で260nmの波長で定量して−20℃で保管し使用した。

 

実施例4:
ミトコンドリアDNAの制限酵素消化本実施例の実験に用いた制限酵素及び緩衝溶液は、Boehringer Mannheim(独国)から購入し、制限酵素とそれらの認識部位は表2に示した。前記実施例3で得た菌株それぞれのミトコンドリアDNA試料は、制限酵 素反応溶液10μlに1μgになるように用い、37℃で3時間反応させた。

 

【0021】 【表2】   省略

 

【0022】実施例5:
アガロースゲル(Agarose gel)電気泳動前記実施例4で制限酵素反応が終った試料は、ゲルローディング緩衝溶液(gelloading buffer;0.25% ブロモフェノールブルー(bromophenol blue), 0.25%キシレンシアノールFF, 30%グリセロール水溶液)と混合して電気泳動した。電気泳動は水平電気泳動装置(BRL, U. S. A)を用いて1%アガロースゲル(agarose MP,Boehringer Mannheim co.,独国)でTAE緩衝溶液(40mM Tris-acetate, 1mM EDTA, pH 8.0)を使用して50Vで4時間実施した。展開後のゲルは臭化エチジウム(ethidium bromide;0.5μg/ml水溶液)で染色した。表3に各菌株のミトコンドリアDNAの大きさをまとめて示した。

 

【0023】 【表3】   省略

 

【0024】
実施例6:
RFLP(restriction fragment length polymorphism)分析ペリヌス属菌株間のDNA近縁関係の分析及び調査は、NeiとLiの方法(1979)により行った。即ち、制限酵素で消化 した各菌株のミトコンドリアDNA断片を前記実施例5で説明した通り、アガロースゲルに電気泳動し、等距離で移動するDNA断片を同一のものと仮定して制 限酵素断片類似度(F値)と塩基位置当り塩基置換度(P値)を求め、P値からペリヌス・リンテウス・ユー菌株KCTC 0399BPと他のペリヌス属菌株との近縁関係をUPGMA(Unweighted Pari-Group Method,arithmetic average)Clustring方法により分析した。

 

P値とF値は下記式に基づき計算した。 制限酵素断片類似度 F=2nxy/(nx+ny)(nx、nyは各菌株x、yのDNA断片の総数、nxyは二つのペリヌス菌株間の共通DNA断片数)塩基位置当り塩基置換度 P=-(1nF)/r(rは制限酵素認識部位の塩基対数)表4に、制限酵素BamHIで処理した各菌株のF値とこれに相応するP値を、又、表5には制限酵 素CIaIで処理した各菌株のF値とこれに相応するP値を、表6には制限酵素EcoRIで処理した各菌株のF値とこれに相応するP値を、表7には制限酵素 PvuIIで処理した各菌株のF値とこれに相応するP値を示し、そして表8には共通切片の比率と表4〜7の斜線上P値に相応する算術平均的な距離を示し た。

 

又、この結果により図1(省略)のような進化系統図を作成し、これに従って本発明の新規の菌株ペリヌスリンテウスユー菌株KCTC 0399BPは、ペリヌス属菌株と有縁関係がある新たに分化された菌株であることを示した。

 

【0025】 【表4】   省略

 

【0026】 【表5】   省略

 

【0027】 【表6】   省略

 

【0028】 【表7】   省略

 

【0029】 【表8】   省略

 

【0030】
実施例7:
本発明ペリヌス・リンテウス・ユー(Phellinus linteus Yoo)菌株KCTC0399BPの微生物学的特性調査前記実施例1〜6までの結果から、ペリヌス属菌株と近縁関係がある、新たに分化された新規の菌株で あるのが証明された本発明の新規の菌株の微生物学的特性を調べた。この菌株の子実体は、無柄であり多年生で木質部分が形成されており、笠は半円形で幅 10cm、厚さ約4cmであった。採取した桑黄茸の表面は、初めには暗褐色を呈していたが、後には黒褐色に変化し、多くの巨裂を呈し荒かった。下面は初め には鮮黄色を帯びた後、黄褐色に変った。下面の管孔は多層であり、孔の入口は微細であり、胞子は類球形、淡黄褐色で3〜4μm、剛毛体は多数であり、厚膜 は15〜30×8〜10μmであった。

 

【0031】
実験の結果、この菌株は日本で発行された「原色日本新菌類図鑑(II)、Hoikusha 発行、イマゼキロクヤ及びホンゴーツコウ編著p189」に記録された桑黄茸(Phellinus linteus)と殆ど一致するが桑黄茸の新菌株と認め、本発明者らはこの菌株の菌株名をペリヌス・リンテウス・ユー(Phellinus linteus Yoo)と命名した。前述した通り、この菌株は韓国科学技術研究院生命工学研究所に1997年11月12日付寄託番号KCTC 0399BPで寄託された。 実施例8:ペリヌスリンテウスユー菌株(Phellinus linteus Yoo;KCTC 0399BP)の培養本発明の新規のペリヌス・リンテウス・ユー菌株を液体培養するために培地1リットル当り葡萄糖50g、ペプトン10g、酵母抽出物 10g及びKH2PO4 0.8g、MgSO4・7H2O 0.5g、CaCl2 0.3gを混合した無機塩類溶液1mLが入っている液体培地をpH6.0に調整した後、滅菌して用いた。この際、菌糸体を培養するために5リットル発酵槽 を用いて3.5リットルの液体培地を作り、温度28℃、通気量2vvm、回転数160rpm条件で11日間培養し、この際の菌糸体収率は5日後に最も高 く、リットル当り30gであった(図2 省略)。5日間培養した菌糸体の熱水抽出で得られる多糖類物質の収率は、表9から見られる通り、菌糸体乾燥重量当 り0.873%であった。

 

【0032】
【表9】   省略

 

【0033】
実施例9:
ペリヌス・リンテウス・ ユー菌株の培養菌糸体抽出本発明の新規のペリヌス・リンテウス・ユー菌株の培養菌糸体を次のような方法により抽出・精製して免疫増強活性粗抽出物を得た。 前記実施例8で得られた培養菌糸体280gを熱水抽出した後、濃縮して3gの熱水抽出液を得た。この抽出液にエタノール濃度が80%になるようにエタノー ルを加えた後、4℃で24時間放置した後に遠心分離して、上澄液と沈澱物を得た。沈澱物は水に溶かした後、透析膜(cellulose tubing,日本三光純薬製品)を用いて10℃低温で72時間の間に12時間間隔で透析液を交換しながら透析した。透析膜内の内液を凍結乾燥して 2.45gの粗抽出物を得た。 実施例10:純粋な免疫活性物質の分離前記実施例9で得られた粗抽出物をDEAE-セルロースとゲル濾過クロマトグラフィーを順次に行って純粋な活性分画 を得た。先ず、粗抽出物を5mMソジウムホスフェート緩衝液(pH 7.2)に溶解した後、DEAE-セルロースカラムにアプライし、同一緩衝溶液で洗浄した後、同一緩衝溶液に0から1M濃度のNaClを調製して gradientで1分当り5mLの流速で溶出させて各試験管に15mLずつ分取した。フェノール−硫酸定量法より糖含量を、ブラッドフォード法により蛋 白質含量を決定した。この際、得られた糖含量粗抽出物分画はToyopearl HW 65Fゲル濾過クロマトグラフィーにかけて分子量が均一で性質が同一な純粋活性分画を得た。溶出は水で行った。糖と蛋白質含量は前記の同一な方法で決定し た。このようにして得られた純粋な免疫活性物質をピーエル(PL)とし、抽出及び精製過程は図3(省略)に示した。実施例11:抽出分画多糖類物質の免疫 増強活性の調査担子菌由来の多糖類物質は、生体内の免疫機構であるリンパ球の増殖又は活性に影響を与えることにより外部因子に対する免疫性を増強させ、こ の結果、癌細胞の破壊をもたらすと知られている。このような作用は直接的な細胞毒性に起因するのではなく、免疫活性により媒介されるもので、生体内の副作 用が少ない長所がある。即ち、T-細胞とB-細胞リンパ球のそれぞれに対する細胞毒性作用と免疫作用体である抗体形成を誘導して免疫活性が増加し、その結 果として免疫抗癌活性を示す。従って、抗体形成リンパ球をカウントし、リンパ球とT-細胞の増殖程度を測定することにより、免疫抗癌活性を間接的に説明す ることができる。

 

【0034】
本発明においては抗体形成リンパ球をカウントする抗体形成細胞計算法(antibody forming cell method)、T-細胞の増殖程度を測定する混合リンパ球応答(Mixed lymphocytes response)とリンパ球の増殖効果が判る細胞内の核DNA合成量を同位元素で置換されたチミジン(3H ‐Thymidine)を用いて測定することにより、活性の指標とした。実験結果は表10に示した。

 

【0035】
【表10】   省略

 

【0036】
本発明の新規のペリヌス・リンテウス菌糸体から得た多糖類物質は、対照区に比べて約5倍高いリンパ球増殖及びT-細胞活性効果を示し、B細胞の抗体形成能 の場合、免疫諸剤のうち効果が最も優れているが、生体内の副作用に因り用いることができない陽性対照区リポポリサカライドの活性程度とは殆ど類似の水準を 示した。 実施例12:免疫増強活性多糖類物質の構成糖単位及び糖組成の調査実施例10で得た多糖類物質の構成単糖類成分を分析するためにガスクロマトグラフィーを 実施した(図4 省略)。更に、構成成分は炭水化物の場合、フェノール‐硫酸法により測定し、蛋白質の場合、Folin−フェノール法により測定した。分 析機種として、ヒューレットパッカード(HP 5890 GC)を用い、カラムはヒューズドシリカキャピラリカラムSP−2330(fused silica capillary column sp-2330, 0.32mm x 30cm)を用いた。下記条件でガスクロマトグラフィーを行った。カラム温度を初期に200℃で2分間維持した後、1分間隔で4℃ずつ温度を高めて最終温 度が250℃で2分間維持されるようにして測定し、ディテクター(detector)の温度は260℃、注入部(injector)の温度は250℃に維 持した。実施例11で得た各抽出分画多糖類物質2mgずつをTFAで加水分解し、ソジウムボロハイドライド(NaBH4)で還元した後、無水酢酸でアセチ ル化してアジトールアセテート(aditol acetate)とし、前記の条件でガスクロマトグラフィーを実施した。その結果を下記表11に示した・

 

【0037】
【表11】

 

【0038】
実施例13:
免疫増強活性多糖類物質の構造分析免疫増強活性多糖類物質の構造分析を実施した。先ず、純度をHW 65Fゲルカラムクロマトグラフィーによって確めた。このクロマトグラフィーで単一対称ピークを示したのでPLが純粋であることが確認された(図5 省 略)。炭素核磁気共鳴スペクトル分析の結果(図6 省略)、グルコース単位がα(1→4)及びβ(1→6)結合によって結合された長鎖を形成し、この長鎖 にマンノースとガラクトースが分枝として結合されたガラクトマンノグルカン(Galactomannoglucan)と同定された。

 

【0039】
以上の結果、構成単糖類成分結果とよく一致し、抽出分画単糖類がβ-グルカンとは構造が相 違する新規の多糖類物質であることが判明した。

 

実施例14:
ペリヌス属菌株培養菌糸体の抽出、精製及び免疫増強活性調査前記実施例8〜11まで実施した方法と同様にペリヌス属に属するペリヌス・イグニ アリウス(Phellinus igniarius)、ペリヌス・バウミ(P. baumi)、ペリヌス・ピニ(P. pini)、ペリヌス・ギルブス(P. gilvus)及びペリヌス・ニグリカンス(P. nigricans)を培養し、菌糸体を得、多糖類物質を抽出・精製した後、これらを使用してT-細胞とB-細胞リンパ球のそれぞれの細胞毒性作用と免疫 作用体である抗体形成の増強を誘導した。抗体形成リンパ球をカウントし、またT-細胞の増殖程度を測定して抗癌免疫活性を間接的に証明した。

 

結果は、前記 実施例11と殆ど同じであることが分かった。

 

実施例15:
ペリヌス属菌株子実体の抽出、精製及び免疫増強活性調査前記実施例8〜11まで実施した方法と同様にペリヌス属に属するペリヌス・イグニアリ ウス(Phellinus igniarius)、ペリヌス・バウミ(P. baumi)、ペリヌス・ピニ(P. pini)、ペリヌス・ギルブス(P. gilvus)及びペリヌス・ニグリカンス(P. nigricans)菌株を培養し、子実体を収得して多糖類物質を抽出・精製した後、これらを使用してT-細胞とB-細胞リンパ球のそれぞれの細胞毒性作 用と免疫作用体である抗体形成の増強を誘導した。抗体形成リンパ球をカウントし、T-細胞の増殖程度を測定して抗癌免疫活性を間接的に証明した。結果は、 前記実施例11と殆ど同じであることが分かった。

 

実施例16:

 

投与時間による多糖類物質の癌細胞に対する抗癌活性調査多糖類物質の抗癌活性は、マウス由来癌細胞であるB16F10皮膚癌細胞を利用して測 定した。B16F10皮膚癌細胞は10%の血清を含有したRPMI1640培地で培養し、1週に2回程継代培養した。B16F10皮膚癌細胞は、BDF1 マウス当り100,000細胞を移植して、30日間マウスの生存率を調べた。

 

多糖類物質を癌細胞移植1週間前から癌細胞移植後12日まで持続的に腹腔投与 する前処置を行い生存率を調べ、一方癌細胞を移植した後12日間多糖類物質を腹腔投与する後処置を行い生存率をそれぞれ調べた。実験の結果、図7(省略) に示す通り、未処置群の生存率が最も少なく、次が多糖類物質後処置群、その次の多糖類物質前処置群であることが分かった。これを表12にまとめた。 B16F10皮膚癌細胞を移植したマウスの場合、平均生存が20.8日であり、多糖類物質を前処置した場合には平均生存が29日であり、多糖類物質を後処 置した場合には25.8日であった。この際、試験マウスに体重の変化はなかった。