がん治療とメシマコブ

メシマコブの特許に関する説明(1)

 

メシマコブの特許に関する説明を特許電子図書館から取得し、その一部(発明の効果・詳細な説明)を記載したものです。               
表 は省略しておりますので、ご覧になりたい方は特許庁のホームページから
 (特許 第3093194)を検索してください。
効果 -----------------------------------------------------------------
【発 明の効果】
本発明は、以上の実施例と実験例にて説明した通り、多様なペリヌス属菌株からミトコンドリアDNAを分離して制限酵素で処理した後、RFLP (restriction fragment length polymorphism)結果を分析し、微生物学的特徴を調べることにより新規のペリヌス・リンテウス・ユー(Phellinus linteus Yoo)菌株を同定し提供するものである。同定した新規のペリヌス・リンテウス・ユー菌株を始めとするペリヌス属菌糸体からT-細胞とB-細胞リンパ球の それぞれに対する細胞毒性作用と免疫作用体である抗体形成を誘導して免疫活性を増加させることにより抗癌免疫活性を示す多糖類物質を提供すること、ならび に、この多糖類物質が抗癌免疫治療剤として生体の免疫機能を増加させて癌移転を抑制することにより、癌、AIDS等の免疫関連疾患の予防及び治療に効果が あるため、生物医薬産業及び免疫学上非常に有用である。
詳細な説明 -------------------------------------------------------

 

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発 明の属する技術分野】

 

本発明は、新規の免疫増強活性多糖類物質を生産するペリヌス属菌株と、この菌株が生産する多糖類物質及びこの物質の使用に関する。よ り具体的には、本発明の多糖類物質は、新規の免疫増強活性を示す多糖類物質を生産するペリヌス属(Phellinus)菌株を同定し、同定した菌株とペリ ヌス属菌株の菌糸体又は子実体から新規の免疫増強活性多糖類物質を分離精製することによって得ることができる。分離された多糖類物質は、癌、AIDS等の 免疫関連疾患の予防・治療、ならびに、それら疾患の機序の基礎研究のための薬物として使用し得る。

 

【0002】
【従来の技術】

 

真菌類の高等菌類に属する茸は、顕微鏡的構造の菌糸により外部から栄養の供給を受けて従属栄養生活をし(Whittaker,1969)、 生態界内では複雑な有機物質を分解して自然に還元させる分解者の役割を担当する。典型的な茸の種類は、大部分の菌類中でも担子病を形成して四つの担子胞子 を外生する担子菌類(Basidiomycetes)に属し、担子菌類中でも子実層を露出して胞子を能動的に放出する菌蕈類 (Hymenomycetes)に属する。菌蕈類の代表例は、平はら茸目(Aphyllophorales)とはら茸目(Agaricales)であり、 平はら茸目には箒茸、すずめの茸、はり茸、かわら茸、あな茸、さるのこしかけ等の種類があり、はら茸目には平茸、椎茸、末広茸、松茸、べんてん茸、はさく れしとよ茸等の種類が代表的である(李 等、1985)。担子菌の一種で平はら茸目(Aphyllophorales)に属する茸類の多くの種類が各種の疾病、特に腫瘍に対する治療効果があると の事実が以前から知られており、主に漢方薬又は民間薬として伝承されて来た。その中でもさるのこしかけ科(polyporaceae)のすっぽん茸属 (Phellinus)に属するペリヌス・リンテウス(Phellinus linteus)は、漢方では桑黄と呼ばれる貴重な薬材として用いられて来た。しかし、桑黄は自然界では非常に稀貴種であって、子実体(fruiting body)の入手が極めて難しいのみならず、菌糸体(mycelium)を分離して人工培養するのも極めて難しいという欠点がある。従って、桑黄が腫瘍治 療剤として非常に効果があるとの事実が認知されていたにも拘わらず積極的に活用することができなかった。

 

【0003】

 

癌を治療するための方法としては、化学療法(chemotherapy)、放射線療法 (radiotherapy)、手術療法(surgery)等が用いられているが、これら治療法は、効果的に固形癌等を除去することができるが、癌を完全 に治療することができなく、特に癌の転移に対しては治療効果が低い。更に、アドリアマイシン等のような抗癌剤を用いる化学療法及び放射線療法は、甚だしい 副作用を誘発する。副作用を減少させるために抗癌剤の量を減らして癌を治療することもあるが、この場合、治療効果が低まる欠点がある。より大きい問題点と しては、前述の通り、抗癌治療後に癌転移を抑制し得ないということである。従って、既存の化学療法による抗癌治療は癌細胞の成長を抑制する効果があるが、 癌を完治することはできなかった。

 

【0004】

 

最近、免疫療法(immunotherapy)を化学療法と共に用いて抗癌効果を高め、副 作用を減少させる方法が用いられている。即ち、免疫増強剤とアドリアマイシン等の抗癌剤を併用(immunochemotherapy)して副作用を減ら し抗癌効果を高めている。免疫療法に用いられる物質としてはインターロイキン−2のようなサイトカインがある。インターロイキン−2は免疫治療剤として治 療効果が優れ、特に癌移転に優れた治療効果を見せている。しかし、人体に応用して癌治療をする場合には高い濃度で用いなければならないが、この際、甚だし い副作用を誘発する欠点がある。最近、サイトカインでない免疫増強物質としてレンチナン、OK−432等が開発されており、これら物質は副作用無しに抗癌 作用を示している。

 

【0005】

 

一方、ペリヌス菌株の微生物学的又は遺伝学的特性を糾明して報告した研究も皆無の実情であ る。微生物の場合、同一の種(species)であっても各菌株が生産する活性物質の種類や生産量等に著しい差異があるのみならず、培養条件、菌株の安定 性、遺伝的変異の頻度等にも大きな差異をみせている。従って、強力な免疫抗癌活性物質を多量に生産すると共に、人工液体培養が可能であり、遺伝的変異が少 ない安定した微生物の選抜が最も重要な要因になる。すっぽん茸類は形態的にも顕微鏡下での変かが甚だしく多様であるため、それらの分類は顕微鏡下での形態 学的差異に依存しているのが実情である。

 

【0006】

 

最近、集団遺伝学と系統遺伝学においては、DNA分析法が多く利用される。そのうち、 RFLP(restriction fragment Length polymorphism)は、塩基配列の変異の推定を可能にする方法であって(Dowling et al., 1990)、このDNA分析法は表現型による分析方法とは異なり遺伝子型を進化速度や遺伝傾向に基づき分析することができる長所を有している (Dowling et al., Nucleic acid II: Restriction site analysis. In: Molecular systematics ed. by D.M. Hills and C. Moritz, pp.250-317, Sinauer Associates Press)。ところで、DNA分析の場合、核のDNAはあまり大きく分析が容易でないという欠点があるため、主にオルガネラゲノム (organellar genome)を多く用いる(White and Densmore,1992)。そのうちでもミトコンドリアDNAを多く利用するが、一般的にミトコンドリアDNAは核のDNAより大きさが小さく、進化 的変化速度が相対的に早く、母系半数体遺伝をするため、集団の遺伝子構造と歴史の研究によく使用される。特に、ミトコンドリアDNAのRFLPは諸種間の 種間変異研究に用いられている(Foster et al., 1987,1988)。

 

【0007】
【発明が解決しようとする課題】

 

本発明の目的は、前記の如き事実を鑑み免疫増強活性を示す新規の多糖類物質を生産するペリヌス属菌株、この多糖類物質、及 び免疫疾患治療剤としての前記多糖類物質を提供することにある。本発明の別の目的は、免疫増強活性を示す新規の多糖類物質を生産する前記ペリヌス属菌株の ミトコンドリアDNAを制限酵素で処理し、RFLPパターンを調べて同定した後、この菌株の菌糸体及び子実体から免疫増強活性多糖類物質を分離精製するこ と、ならびに、分離精製した多糖類物質を癌、AIDSなどの免疫関連疾患の予防・治療及び基礎的機序研究のための薬物として使用することにある。

 

【0008】
【課題を解決するための手段】

 

本発明の前記目的を達成するために、先ず、多様なペリヌス属菌株を培養してSDS-Phenol法でDNAを分離した後、こ のうちミトコンドリアDNAだけを分離して制限酵素BamHI、ClaI、EcoRI及びPvuIIでそれぞれ処理し、処理された試料をアガロースゲル (Agarose gel)上で電気泳動した。ペリヌス属菌株間のDNA近縁関係をNeiとLiの方法(1979)により分析及び調査して近縁関係があると判断された新規の 菌株ペリヌス・リンテウス・ユーKCTC 0399BP菌株の子実体に対する微生物学的特性を調べた。菌株の子実体及び菌糸体から多糖類物質を抽出及び精製し、免疫増強活性を測定して免疫増強活性 物質であることを確かめ、この免疫増強活性物質を精製した後、構成単糖類及び構造的特徴を調べ、免疫増強活性多糖類物質の構造分析を行った。次いで、ペリ ヌス属に属する各種の菌株を前記ペリヌス・リンテウス・ユー菌株KCTC 0399BPと同一の方法で培養し、菌糸体又は子実体から多糖類物質を抽出・精製した後、前記免疫増強活性測定法と同一の方法で免疫増強活性を調べて、ペ リヌス属菌株に属する他の菌株からも免疫増強活性多糖類物質が分離されることを確認した。

 

【0009】

 

また、動物試験において、前記免疫増強活性多糖類物質をマウスの皮膚癌細胞が移植されたマ ウスに投与して抗癌活性を調べ、同一の方法で前記多糖類物質と化学薬剤を併用して、抗癌活性を調べた後、人体癌細胞に対する抗癌効果を調べた。次いで、皮 膚癌細胞を尾静脈に移植した後、化学薬剤と前記免疫増強活性多糖類物質で処理して癌転移に及ぼすこれらの影響を調べ、これにより化学薬剤と前記多糖類物質 が示す抗癌作用の機序の違いが判明した。